こんにちは、アキゾラです。
今日はレバレッジをかけた金融商品について考えてみたいと思います。
アキゾラは昔FXしてたことがあるんですけど、最初レバレッジといったらFXのイメージでした。
例えば、米国株式に興味がある方だったら、目にすることもよくあるかもしれない、Direxion デイリー S&P 500 ブル3倍 ETF(SPXL)。
これは、ご存じS&P500の1日の値動きに、レバレッジ3倍かけたETFです。
※ここでは、特にSPXLに特化した話というわけではなく、レバレッジをかけるということがどういうことか、についてお話しする上でSPXLを例に挙げてお話をしたいと思います。
レバレッジ3倍の値動きをするということは、S&P500が1日で1%あがったら、SPXLは3%あがります。
逆もまたしかり、S&P500が1日で1%下がったら、SPXLは3%下がります。
厳密に考えると、ちょっと色々誤差出てくるんですけど、シンプルに考えたらこんな塩梅です。
こう見ると、市場が好調な時は、利益がどんどん上がっていきそうですね!
でも、暴落時などは悲惨なことになりそうだなぁというのは、何となく見るとわかるかもしれません。
そうなんです。
レバレッジをかけるというのは、この暴落時のことを考えると、なかなか危ない橋だったりします。
SPXLはリターン3倍、リスク3倍、これはどういうことなのか?
リターンが3倍だけど、リスクも3倍かー。と単純に言うのはちょっと待って、もう一回よく考えてみてほしい、ということをお伝えしたいです。
レバレッジなしでも10%下落した場合、次の日10%戻しても、元の金額には戻らない
当たり前のようで、意外と考えが及んでいないところがあったりします。
超簡単な例として、例えば、S&P500の元値が、100だとします。
これが、1日で10%値下がりしたとします。(結構大きいですが、、まぁ分かりやすくしたいための例です。でも個別株だったら普通にあり得ますね)
すると、100−100*10%で、90となりますね。
さて、次の日、今度は回復して、また10%あがりました。
価格はいくらになるか?
よかったー戻った戻った。100? いや違いますよ。
90+90*10%で、99です。
100に回復はしません。
このあたり、ざる計算してると、何となく±ゼロと思ってしまいがちなんですが、違うんです。
10%下落した後は、10%上昇しても、元の100には戻りません。
なぜなら、その時点での元金に対しての上昇率だからです。
これが、元の100に戻るには、翌日は11.1%の上昇率じゃないと、回復できないんです。
これが、レバレッジなしの通常の相場での真理です。
株価が上下しながらも上昇していくということは、下げ幅に対して、上げ幅がそれをしっかり上回っていないといけないというのは、感覚的にすっとはいってくるもんです。
しかし、元に戻るだけだとしても、下がった分をさらに上回って上がらないと、元にすら戻れないんです。なんか力入りますね・・・
ではレバレッジをかけた、SPXLだとどうなるか?
S&P500は元に戻っても、SPXLはマイナスのまま?!
前術の例と同じだけの前日比10%の下げ幅、上げ幅に対しての、SPXLは以下のように動きます。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目(−10%) | 90.0 | 70.0 |
2日目(̟前日比⁺10%) | 99.0 | 91.0 |
この場合、S&P500が、最初の元値から−1%なのに対して、SPXLは−9%です。
う、すでに結構痛手ですけど・・そりゃリスク3倍ですから、まぁ。
では、S &P500が元値100に戻る上昇率をつけた場合は、どうでしょうか。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目(−10%) | 90.0 | 70.0 |
2日目(前日比+11.1%) | 100.0 | 93.3 |
S&P500が回復した場合でも、SPXLは−6.7%となっており、この時点で元値の100を回復できません。
これが、「リスク3倍」の本当のところです。
何となく、S&P500が戻って±ゼロなら、SPXLのリターン3倍リスク3倍の場合でも同じように±ゼロに戻るような気になってしまうのですが(え、ならない?)そうじゃないわけです。
ちなみにこうなった時、さらに3日目にどれだけの上げ幅を付ければSPXLは元値を回復するのか。
この例だと、S&P500が3%程度つければ、回復します。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目 (−10%) | 90.0 | 70.0 |
2日目 (前日比+11.1%) | 100.0 | 93.3 |
3日目(前日比+3%) | 103.0 | 101.7 |
よかったーって感じですね。ふう。
さらに、かなりやばい状況になりそうな、下げ相場が3日続いた場合はどうなるかも見てみましょう。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目(−10%) | 90.0 | 70.0 |
2日目(前日比−5%) | 85.5 | 59.5 |
3日目(前日比−3%) | 88.1 | 64.9 |
下げ幅を適当にとってみましたw
元値に対して、S&P500が−11.9%なのに対して、SPXLは−35.1%となりました。
こうなった場合、ここからSPXLが元値を回復するには、元となるS&P500の上げ幅がかなり大きくないといけないというのが分かります。
ちょっとこれはかなり極端な値動きのシミュレーションなので現実的ではないところがありますが、レバレッジをかけるということがどういうことか、分かりやすくつかめるのではないかと思います。
SPXLは上昇相場では複利の力でどんどん上がっていく
上昇相場でのSPXLの動き
リスクやべーよって話してもあれですので、上昇相場でどのように動くかも見てみます。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目(+10%) | 110.0 | 130.0 |
2日目(前日比+5%) | 115.5 | 149.5 |
3日目(前日比+3%) | 119.0 | 163.0 |
さすがに10%が3日連続はw と思って、先ほどの下落相場と同じだけの上昇相場にしてみましたw
S&P500が+19%に対して、SPXLは+63%。
いやー夢がありますね。飛躍的に資産が増えそうです。
上昇相場で、突然暴落が来た場合
おまけ。でも、さらにこの後、4日目にまた10%下がったら。
S&P500 | SPXL | |
元値 | 100.0 | 100.0 |
1日目(+10%) | 110.0 | 130.0 |
2日目(前日比+5%) | 115.5 | 149.5 |
3日目(前日比+3%) | 119.0 | 163.0 |
4日目(前日比-10%) | 107.1 | 114.1 |
リターンが夢のようだって話してたのに、また夢のない話に戻ってすみません。結果、S&P500とあんまり変わらなくなりました。
前日の株価が上がっているだけに、このように暴落が起きると、下がり幅も強烈になります。これがレバレッジです。
相場というのは、徐々に上がっていきながら、暴落するときは結構ずどんと落ちることも多いです。
まぁ指標に沿うインデックスであれば、そこまで大きな上下はないと思いますが。
逆にもちろん暴騰することだってあり得るわけですが。
現実のSPXLの動きはどうなっているか
ちなみに、実際のS&P500とSPXLの上げ下げ幅は、以下のような感じです。(2020/1現在)
分かりやすく、過去6か月の日足です。
見方としては、6か月前、同じ元値で開始していたら、現在こんな感じになってるーということですね。
2019年8月頭、結構すとんと落ちる暴落がありましたが、SPXLはS&P500よりしっかり下がってますね。2019年10月頭あたりも下げたので、ガクッといってますね。
これ、今見ると、その後上がったことがわかるので、あー落ちたね。でも上がるし、と思えるところもあるんですが、行き先見えない状況でがつっとこんだけ下がったら、その段階では結構うろたえると思いますよ。
2019年11月以降は現在まで米国株式はじわじわ好調が続いています。そのため、SPXLはS&P500に比べるとうなぎのぼりのような状況になってますね。
S&P500単体で見れば、それなりに右肩上がり傾斜が付くもんなんですけど、SPXLと合わせるとなんだかぱっとしなく見えてしまいますねw
ちなみに、2018年の12月、結構暴落が起きました。その部分を含む過去2年で見てみますと、こんな感じ。こちらは月足です。(2020/1現在)
2018年1月に開始した場合、2018年12月時点ではSPXLは−40%弱になってますね。S&P500は−10%くらいですかね。
この時にホールドした場合、その後元値100を確実に回復し、順調に上がりだしたのは2019年10月以降です。S&P500もマイナスであるという点では似たようなもんですけど、S&P500が6月ごろに回復しているのに対して、SPXLは時間がかかっています。それに言わずもがな、SPXLはマイナス幅がでかすぎます。
この期間で見ても、上昇相場が続いた現時点でS&P500を上回っていますが、マイナスの期間の心地悪さ(なんて生易しいもんじゃないと思う)からみたら、そこまで上回っているかというと・・・?どうなんでしょう。
SPXLはじめ、レバレッジをかけた金融商品はメインの投資先とするのは止めたほうがいい
このように、SPXLをはじめ、レバレッジをかけた金融商品は、メインの投資先とするにはちょっとリスクが大きいと思います。
まぁある程度リスクは取っていかないと、それなりのリターンが得られないのは事実です。
絶対やめた方がいいかどうかは、何とも言えません。
アキゾラだったら?ですが、今のところ、手を出しません。
手を出すなら、株式に回す資金の中でも、さらなる余剰資金でやるのが無難なんじゃないか思いますね。
リスクガンガンとってくぜ!というのも、全然間違っているわけじゃありません。
リスク取るには、それに耐えるだけの環境(下落しても普通に生活できるとか)、精神力(泣かないとか)が必要です。リスク許容度といいますかね。
つまるところ、その人の投資方針によるということになりますが、レバレッジをかけるということはどういうことなのか、リターンの方につられ、リスク部分をよく理解できていない場合は、やめたほうがいいでしょう。
お金は大事だよーってことですわ。
もう少し細かく言えば、投資先が米国株式ならまだしも、日本株式、日経平均のレバレッジとかは、ちょっとお勧めしないかなって個人的には思います。
いやでも、夢あるよね!w
ではでは。
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